ねこぢる(橋口千代美) 1967年生まれ
どこかの美容専門学校を卒業、
埼玉県鳩ヶ谷市東鳩ヶ谷団地で育ち、
1998年5月10日 3:18ごろ首吊り自殺により亡くなりました。
享年31歳。
■デビューまで
専門学校を卒業してすぐ(18・19歳のころ)
ねこぢるさんは雑誌『ガロ』を見て山野一さん(夫)を知り感激したことにより
山野さんと一緒に暮らすようになった。
山野さんの家まで押しかけてそのまま上がり込んでしまった。
そのうち 「山野さんの漫画を手伝いたい」
と言い出し、『ガロ』に共同で「ねこぢるうどん」を書き始めた。
これがデビューのきっかけだった。
■ねこぢるさんの生命力
ねこぢるさんは私から言うと普通ではなかった…。
ねこぢるさんは生命力そのものが乏しく
食欲もほとんどなく、肉も魚も食べられない。
ひきこもりがちで部屋の中でFFをやりつづけていた。
自殺未遂をしたことも何度もあり、
よく「死は恐くない」と何度も言い、精神科でも 鬱病 と診断されていた。
(ただし「友達が死ぬのは嫌」)
よく漫画の中でにゃーこが「ぶえー、まじーや!」といって
食ったものを吐き出すというシーンがあるのですが
ねこぢるさん自身にも実際、友達にアボカドを勧められて
食べてみたが「ウゲーーーッ!!」っと勢いよく噴射したらしい…。
■ねこぢるの楽しみ
90年代前半、ねこぢるさんもそんなに忙しくない頃は
吉永さん(著者)・山野さん(夫)と一緒にテクノのCDをかけ
ねこぢるさんは酒を飲み、吉永さんは麻薬(大麻)を吸い
夜から朝まで喋り通し「音はまり(音楽でトリップすること)」をしていた。
(酒は「ジャック・ダニエル」などを何でも飲んでいたらしい)
■にゃーこ、にゃっ太は誰?
ねこぢるさんは「実家臭」というものがまるで無く
作品の中に出てくる家族も「こうあって欲しい」という
家族観の現れだったらしいです。
作品の中の「にゃーこ」は自分、「にゃすお」は
夫の名前(やすお)から取っているのですが、
にゃっ太については 自分の弟だったかというと、チョット違う(?)らしいです。
(ねこぢるさんには弟・妹がいます)
■飼い猫「にゃんすけ」の調教
ねこぢるさんはネコを飼っていた。
「にゃんすけ」という名前だったけど調教の仕方が凄い。
言うことを聞かないと鞭でビシビシ殴りつづける。
その結果、ねこぢるの言うことだけには素直に従うようになっていた。
■2人揃って初めてねこぢる
ねこぢるさんの漫画は、山野一さんと共同で描いて初めて「ねこぢる」で、
いわゆる シャム双生児 のような感じ。
ねこぢるさんの発想・タッチを山野さんが普通の人でも分かる形に
まとめることで 一つの作品になっていた。
「100%ねこぢる」の作品は おそらく一つもないらしいのです。
■売れすぎによる滅び…
90年代半ば、「危なかわいい」ねこぢるの人気に火が付いた。
仕事場は修羅場と化していて もはや「音はまり」をする時間も
寝る時間も無いほど忙しくなっていったのです。
次々と来る仕事を断らず全部受けていた。
ねこぢるさんも山野さんも仕事を断れないタチだったので。
ブームにより量産を強いられ、ネタ切れの状態が続いていて
「ねこ神さま」や「ぢるぢる日記」でも、人から聞いた話をそのまま書いたり
同じようなネタを2度繰り返したりもしている。
…一度こんなことがあったという。
あまりの忙しさで精神が不安定になっていたのか
ねこぢるさんがテンパって山野さんをカッターで切りつけたらしい…。
深夜、山野さんは吉永さん(著者)の仕事場に行き泊めてもらうが、
ねこぢるから吉永さん宅に電話がくる。
「そこしか行かないと思った。早くやすお君を出して!
彼は逃げたんだから。叩き起こして電話に出して!」
… … …。
翌朝、ねこぢるさんの錯乱ぶりも静まった頃、
山野さんはねこぢるさんの元に帰っていった…。
「ねこぢるには僕が必要なんです。」 と言い残して…。
■ねこぢるの死
1998年5月10日、ねこぢるがドアノブにヒモをかけ、首を吊って自殺。
理由は不明…。
死に顔はとても穏やかで、全然苦しんでいない顔をしていた。
お棺には「エイフェックス・ツイン」のCDとビデオが入れられ
式場では 「エイフェックス・ツインの『アンビエント・ワークスU』」 が流れていた。
自殺未遂をした時の遺書は残っていたけど、
全てそれに従ったわけではなく 生きる側の都合が優先された。
シャム双生児のようだった二人のうち一人が自殺し
半身(山野さん)だけが残った…。
その後は「ねこぢるy」として単独で作品を出すが、やはり二人でねこぢる。
タッチはそっくりでも本質的には違うものだった。
ねこぢるさんは手書きだったが、山野さんの方は全て
パソコン(マック)で書くデジタルで、思想も違う。
…なぜ自殺したのか今になっても全く分からないけど
元々生きることに執着が無かったので
結局、死にたい人だったから死んじゃった…と思うしかない。 |